刻印機やローレットなどの技術情報『ローレットページ8@カッタの寿命』

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カッタの寿命

アジア市場の台頭により、国内のものづくりは「高度なもの」「特異なもの」「国内品質のもの」が
増えてくるようになりました。
航空産業や医療産業などがその主たるところですが、根幹には「特殊な材料」を用いるという
大きな特徴があります。
ステンレスやチタン、カーボンファイバーなどの特殊材料は「難削材」と呼ばれ、現場の技術者達を
悩ませながらも需要は増加しています。
 
ローレットの業界でもステンレスの加工やチタン加工が増えてきており「カッタの寿命が良くない」
という相談を受ける事が増えてきました。
 
ステンレスやチタンが工具寿命に及ぼす影響は主に「熱伝導率の低さ」にあり、熱放出が悪い為
加工点の熱が急激に上昇し、熱磨耗を促進させるというのが一番の原因です。
切削ローレット加工も断続切削ですので構成刃先こそ出来ませんが、加工熱は大きな振動と
ともに瞬時に発生します。
この加工熱をいかに減らすかが寿命延長の鍵となります。
 
●効率的な冷却
 
加工熱の冷却に一番良いのは、もちろん切削油を効率良く掛ける事です。
私が現場に行ってよく見かけるのは「加工点ばかりを狙っている」状況です。
確かに切粉が発生する切削ローレット加工では、加工点集中によって切粉の洗い流しを促進させる
事が大事な事ではありますが、カッタ自身の冷却は進まない為に寿命は落ちてしまいます。
材料によっては切粉がカッタにまとわりつく事で外観不良なども起こります。
一番効率が良いのはカッタ自体に勢い良くクーラントを掛ける事です。
写真は勢い良く出たクーラントがカッタを冷却している様子が良くわかります。
 
イメージ 1
 
QUICKナーリングツールではこのクーラントジェットを用いて効率良く冷却が出来ますが、もしも
他社製のホルダなどの場合には、自作ノズルなどでも代用出来ます。
 
●Z送りを上げる
一般的な切削理論と同じですが、旋削では送りを落とせば落とすほど同じ加工点の摩擦を
繰り返し、熱はどんどん上がってしまいます。
送りを上げていく事で、加工点の温度上昇を出来る限り抑えながら加工する事が大事です。
ただし、送りを上げすぎると「切削力が負けて目が浅くなる・目が曲がる」などの弊害も出るので
ワーク材質、ピッチなどにより適宜調節をして下さい。
どちらかというとピッチが細かい(小さい)ほど送りは上げられる傾向にあります。
 
●あまり尖らせない
X切込量を増やすほど、ローレット山は尖る傾向にあります。
ただし、その際に刃先に掛かる負荷は切込量の比例以上に大きくなります。
それを更に超えるとトップロールという現象が起こり、カッタの谷部分とワークの山部分が
接触してしまい、底滑りによって谷が広がったりします。
 
理想のカッタ切込量は尖らせない程度のローレット山です。
この状態を仕上がりとすることでカッタの異常な負荷を減らし、寿命を延ばす事が出来ます。
簡単な事ですが、これだけで寿命が3倍に延びたお客様も要るほど。
今一度、自社製品の「尖り」を見直してみてください。
 
●カッタの角を面取りする
これは平目加工では無くクロス、ダイヤなどの綾目加工について言える事ですが、カッタ2個で
加工する際には旋盤の回転に対してネガ方向で当たるカッタとポジ方向で当たるカッタでは、
刃先に掛かる負荷が大きく違います。少し分かりにくいですが、正転加工でY軸−側のカッタが
それです。(QUICKホルダでは正転加工だとR側のカッタです)
 
イメージ 2
 
このカッタの角部分は瞬間的に力が掛かりやすい状況となっており、チッピングを起こしやすい
事から、面取りして角を落としてから加工する事をお奨めしています。
 
イメージ 3
 
面を取ったら尖らなくなるのでは?と良く言われますが、しっかりと加工点はカッタの腹部分に
食い込んでますので、仕上がりは変わりません。
 
 
カッタの寿命は、適正な使用方法と加工条件だけで無く上記コツを使う事で延ばす事が可能です。
材料や形状、条件によっても様々ですので、お困りの方はメーカーに問合せ下さい。

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